ほんきっき

アスペルガー夫に悶絶する新妻のほんきにっき

「否定」から「診断を受けたい」と変化したアスペルガー夫

また1か月以上更新もできず、申し訳ありません。

 

ここ最近「アスペルガー夫からの自立」を

着々と進めていた。

 

また詳細は書きたいが、

個人事業主として開業しようと、

開業準備を着々を進めている。

 

 

そうやって忙しく動いている1か月間、

アスペルガー夫にも変化が生まれてきた。

 

 

ひつこく「あなたはアスペルガーだ!!」

と夫に言い続けてきた私。

 

ひつこく「俺はアスペルガーじゃない!!」

と否定し続けてきた夫。

 

そんな約2年半に及ぶ攻防に、

ようやく少し変化が見えてきた。

 

今日はそんな、

「ずっとアスペルガーであることを否定していた夫が、

アスペルガーであることを認めはじめた出来事」

について、その経緯を書いてみたい。

 

 

 

私がアスペルガーであろう夫と結婚したのは、

約3年前。

 

結婚直後に夫のキレっぷりや不可解な行動から、

アスペルガーを疑ったのは、結婚半年後だった。

 

そこから、彼に「アスペルガーではないか」

と指摘してから、現在、約2年半が経った。

 

これまで、私がいくら言っても、

決して彼は自分がアスペルガーとは認めなかった。

 

そもそも彼自身、アスペルガーがどういうもので、

どういう症状なのか、知りもしなかった。

 

知りもしないのに、「自分は違う」と、

否定していた。

 

彼がそうやって否定するたびに私は、

アスペルガーじゃないって、どうしてわかるの?」

アスペルガーについてわかってるの?」

と聞き続けた。

そうすると彼は決まって黙りこくった。

 

本当は自分がアスペルガーじゃないという、

根拠も何もなくそう言っているのだ。

 

そこにあるのは、ただ、

「レッテルを貼ろうとしている妻がおかしい」

「俺を欠陥品みたいに言いやがって」

という、ただの「感情的」なものだった。

 

おまけに「アスペルガーっていう響きがいや」

というような、なんとなくの嫌悪感も相まっていた。

 

彼に何度も、

アスペルガーとはどういうものか」

をわかってもらおうとしてきた。

 

そこで彼の難しいところは、

「識字障害」があるところだった。

 

文字が読めないのだ。

本が読めない。

アスペルガーに併発しがちな、

学習障害だった。

 

だから、

「このアスペルガーについての本を読んでみて」

と、本で学習してもらうことができない。

 

なので、口頭で説明することを試みてきたが、

なにせアスペルガーには「被害者意識」なるものがあり、

「俺は責められてる!」と思われて、聞く耳を持たない。

 

とたんに怒り出したり、キレ出したりするから、

会話にも話し合いにもならない状態だった。

 

「自分でインターネットで調べてみてよ」

と、自分で調べるように何度も促してきた。

 

でも、ちゃんと調べてくれることもなく、

少し調べたような気配があっても、

「俺はアスペルガーじゃないと思う」

と結論付けてきていた。

 

インターネットにある、

アスペルガーに該当するかのチェックリスト」

などで、自分が当てはまらないところにフォーカス

しているのだろうと思う。

 

アスペルガーは、空気が読めない」

と書いていれば、

「俺は空気が読める。つまりアスペルガーじゃない」

と、自分で勝手にいいように解釈するのだ。

 

アスペルガーの厄介な特性は、

職場でうまくやっていることも、

家庭ではできない、などということが起こることだ。

 

「外の顔」を意識しているときにはできて、

本当の自分に戻れる「家庭」ではできないことがある。

 

私の夫で言えば、

職場では、上司にでも、お客様にでも、

「申し訳ありません!」と素直に謝る。

 

でも家に帰ってきて、私が怒っていても、

「ごめんなさい」は絶対に言えない。

 

その理由は、「家だから」。

 

職場での自分はあくまで「仮面」なのだ。

 

だから、アスペルガーかどうかのチェックリストも、

職場で成功していて、生きづらさを感じていないと、

チェックリストにチェックが入りづらくなる。

チェックが甘くなり、結果、

「俺はアルペルガーなんかじゃない」

「そんなことを言ってくる妻がおかしい」

となる。

 

 

そんな具合で、人生に困っていなかった我が夫は、

結婚後ひつこく

アスペルガー夫」とレッテルを貼ろうとする私を、

悪と戦う正義のように突っぱねてきた。

 

 

「俺を欠陥品扱いするな!」

「俺を病気みたいに言いやがって!」

と、さんざん私に言い続けてきた。

 

 

それでも、私は戦い続けていた。

 

 

私の第一目標は、

「彼を病院に連れていくこと」だった。

 

まずその第一難関を突破しなければ、

スタートラインにも立っていない。

 

まず、本人がアスペルガーの症状を理解し、自覚する。

そして、コントロールできるようになること。

家庭内での「生きづらさ」を和らげること。

 

それが、まず最初の目標だった。

 

 

彼は、病院で診断を受けることに関しては、

そこまで否定的ではなかった。

 

離婚寸前の大喧嘩が起こるたび、

「病院で診断を受けること」

を結婚継続の条件としてやってきた。

 

しかし、次に、またアスペルガーの悪い面が出てくる。

 

「予定を立てられない」

というアスペルガーの性質だ。

 

先のことがイメージできない、想像できない。

そういうアスペルガーの特長が邪魔をして、

病院に行く日を決められずにいた。

 

彼は、月に1日、休みがあるかどうかなのだ。

そんな異常な働き方をしているのも、

アスペルガーの影響だろう。

休みを取ることができない。

コントロールできないのだ。

 

しかし、大人のアスペルガー診断をしてくれる病院は、

3、4か月待ちなどが当たり前。

なかなか、予約を取れずにいた。

 

 

でも、私もいい加減しびれを切らし、

「もう病院行くよ!!」

と最近特に、彼にかみつき続けていた。

 

 

そのあたりから、大喧嘩をした時の

彼の反応が少しずつ変わっていった。

 

 

それは、アスペルガー否定時期から、

容認への移行期で発生する、

「絶望」のような反応だった。

 

 

ある日、あることで大喧嘩になったとき、

彼は初めてこんなことを言い出した。

 

 

「俺、アスペルガーだから無理なんだ!」

 

 

急に、そんな変化球が飛んできて、

拍子抜けしてしまった。

 

なぜ、ずっと否定し続けてきたのに、

今後は急に「開き直り」に転じてきたのか。

 

その日は、こんなことを繰り返し言っていた。

 

「しょうがないじゃん、治らないんでしょ、

アスペルガーは」

「もう病気だからどうしようもないんだよ」

「もうだめなんだ、俺は」

 

どうした、夫。

 

急にアスペルガーと認め出す発言に、

私は戸惑っていた。

 

明らかにいい認め方ではなく、

「どうせ俺なんて」的なマイナス方向だった。

 

話を聞き進めると、

「俺、調べてみたんだよね」

「たぶん俺、アスペルガーなんでしょ」

「でも治らないんじゃん」

「どーしよーもないよね」

 

と、色々と投げやりに話をしてきた。

 

つまり、アスペルガーについてインターネットで調べたら、

治らないことがわかり、自暴自棄になっている、

というような状況のようだった。

 

 

 

その後、色々と話をしていたら、

突然頭を抱えて、

 

「わーーー!

 もう俺は無理なんだ!!

 だめなんだよ!!!!」

「ダメだダメだダメだ」

 

 

と叫び出した。

 

 

こ、壊れた…

 

 

 

いまどき、漫画から飛び出たように、

わかりやすく壊れる人がいるとは。

 

実際に、頭を抱えて「わー」ってやる人、

初めて見た。

 

そんな異様な光景を、私は引いて見ていた。

 

 

 

そのころから、少しずつ、

彼は自分が「アスペルガーかもしれない」

と、認めるフェーズに入っていったようだった。

 

かなり「アスペルガーアレルギー発症」的な

いい反応ではないが、

それでも変化が起こったことはいいと思っていた。

 

 

 

そんなある日、彼が仕事から帰って来るなり、

突然彼に、

 

「いつ病院行くの?」

 

と聞かれた。

 

私は彼の真意がわからず、

「あなたが予定をいつまでも教えてくれないから、

予約が取れてないよ」

と伝えた。

 

その時は、「ふーん」と言うくらいで、

話は終わった。

 

 

しかしその夜、彼がこんなことを話し始めて、

その真意がわかることとなった。

 

 

その頃、彼は職場で

最高潮にストレスを抱えていたらしかった。

 

何社もの取締役であり、

おまけに部長も兼任する部署があったりと、

彼のキャパを超えた仕事量をこなしていた。

 

人の3倍もの仕事量をこなしてきた彼も、

さすがに頭がついてこなくなってきたらしかった。

 

これまで「アスペルガー」という天才面が支えてきただろう

職場での天才的な能力を持ってしても、

立ちゆかなくなっていたようだ。

 

 

彼にとっては、

「能力が鈍ってきた」

「能力が衰えてきた」

と考えたらしい。

 

つまり、彼の人生で初めて、

「困っている」状態が訪れていた。

 

彼が言うには、

 

「もう会社の数や部署が多すぎて、

頭がついてこなくなってきたんだよね」

 

「これまでは覚えられていたのに、

だんだん記憶しきれなくなってきた」

 

「数字だけは得意だったのに、

その数字までわからなくなってきた」

 

「最近やっとわかったけど

会議で資料配られても読めないんだよ」

 

「だから俺、病院行きたいんだよ!!」

 

「わからないけど、薬かなんかで、

よくなるんだったらよくしたいんだ!」

 

 

ということだった。

 

数字で言えば、

これまで数百人の部下を持つ程度の規模では

やっていけていた。

 

しかし、数千人規模の部下を持つほどの規模になった今、

アスペルガーの性質ややりづらさを感じて初めて困っている、

ということのようだった。

 

 

彼には申し訳ないが、

私にとってはとてもいい出来事だった。

 

なにがいいって、

アスペルガー当人が、困っている」

ということだ。

 

アスペルガーの疑いがある当人に必要なのは、

自覚だ。

 

そして、自覚するためには、

当人自身が「困っていないと」自覚しようがない。

 

人生、順風満帆なのに、

アスペルガーだよ!」と他人から言われても、

受け入れられないものなのだろう。

 

彼がこれまでそうだった。

 

彼のこれまでの言い分は、

「俺、困ってないし」

「これまでも困ったことないし」

だった。

 

それが今回、初めて、

「俺、困ってるんだよね!」

と切々と私に訴えてきたのだ。

 

私にとっては、

ハイハイしていたベビーが立った、

くらいの感動的な変化だった。

 

 

心の中で「ガッツポーズ」しながら、

喜びを隠して彼の話をフムフムと聞いていた。

 

 

一応、9月半ばに病院の予約は取っている。

 

そこに、彼の予定がうまくはまれば、

ようやく病院に行けるかと思っている。

 

 

またいつ、

「やっぱり俺はアスペルガーじゃない」

と言い出すかわからないので、

早く病院に行かなければと思う。

 

 

アスペルガーのパートナーとうまくやっていく鍵は、

「診断を受ける」ことが第一らしい。

 そう痛感したのは、この本2冊を読んでからだ。

著者は両方とも、

マクシーン・アストンという海外のカウンセラー。

ずっと、この2冊の本について、

詳しく内容を紹介しなければ、とずっと思っている。

ずっとその時間が取れない自分がもどかしい。

とりあえず、読める方はこちらを読んでみていただきたい。

 

アスペルガーと愛: ASのパートナーと幸せに生きていくために

 

 

海外書籍の翻訳版だが、やはり日本より海外の方が

数段研究が進んでいると感じた。

 

書いてあるのは、診断の大切さ。

診断を受けたアスペルガーの夫婦と、

そうではない夫婦の差を、

表にして数値化しているところを読んで、

私は衝撃を受けた。

 

なんとしても、夫を診断してもらわなければ、

と思った。

 

日本の本は、表面的なことしか書いていない専門書や、

アスペルガー当人の体験記のようなもの、

また離婚したアスペルガー配偶者のものが多いように思う。

 

そうではなく、海外の本には、

アスペルガーの夫や妻と、具体的にやっていく方法」

を教えてくれるものが多い。

 

そういうものを読む方が、得られる知識は多い。

 

 

もう1冊は、アスペルガーの男性に向けて書かれているこの本。

 

アスペルガーの男性が女性について知っておきたいこと

 

私は、女性側が読んでも非常にためになると感じた。

 

本が読めるアスペルガー男性であれば、

実際に読んでもらうといいのではないだろうか。

 

アスペルガー男性が抱きがちな質問に答える形式の本だが、

例えば、

『17. 黙っていてもダメ、口を開いてもダメ。なぜでしょう。』

など、

お題だけで的をつきすぎてプッと笑ってしまうほどだ。

 

 

この本を読めば、いかにアスペルガーの傾向があるパートナーに

診断を受けてもらうことが大切か、痛感できると思う。

 

 

日々、離婚する離婚すると彼に叫んでいる私だが、

本当は、彼が診断を受け、自覚ができるようになり、

それでもうまくいかなかったら、決断しようと思っている。

 

本当は、なにがあっても、ケジメとして

そこまでは頑張る予定にしているのだ。

 

 

じゃないと、自分の性格的に、

 

「もしかして上手くやっていけたかもしれないのに、

途中で投げ出したのは私だったのではないか」

 

「診断を受けて、本人が自覚したら、

そこからうまくいったかもしれないのに」

 

と、後々後悔することになりそうだからだ。

 

もし、アスペルガー疑いのパートナーがいるのなら、

診断を受けるように、働きかけることをおすすめしたい。

 

その道のりは辛いが、

うまくやっていける希望がある方が、

現状維持で辛い日々を過ごし続けるより、

ずっといいと思う。

 

岩をも動かす気持ちで、

やっていきたい。

 

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