ほんきっき

アスペルガー夫に悶絶する新妻のほんきにっき

おバカな子犬をしつけるがごときアスペルガー夫の調教事情

かなり久しぶりの更新となった。

最近はコメント欄にいただく内容に返信するのみで、お便りコーナー化させてしまっていた。

みなさまからいただくコメント内容にいつもこちらが逆に励まされたり、共感させていただいたり、とてもありがたく交流を楽しませていただいている。

ただ、いただいてばかりでは申し訳ない。

しっかり今日は更新してみたいと思う。

 

さて現在、ようやく我がアスペルガー夫と結婚し、丸2年が経った。

その間、本気で離婚するかを話し合ったのは、3回。

半年に1回は離婚危機を迎えていた私にとって、2年を迎えたのは私にとって奇跡のように感じている。

 

夫がアスペルガーだとわかった当時、私は発達障害関連の本を読み漁っていた。そして絶望していた。

なぜなら、うまくいかなかった事例しか見つけられなかったからだ。

本に載っていたそのほとんどの夫婦が破綻を迎えていた。

どうやってそんな情報を参考にすれば??

上手くいっている事例は一体どこに??

私の頭の中ははてなでいっぱいになっていた。

 

アスペルガーの夫や妻を持つ、約90%が離婚する」というようなデータが、私の頭の中をぐるぐる駆け回っていた。

 

新婚で夫がアスペルガーだとわかった自分は、お先真っ暗になっていた。

巷に、アスペルガー夫と上手くやっている事例を一つも見つけられないなら、自分も例に漏れないのでは?

そう思うと、全くこれからの結婚生活が上手く行く気がしなかった。

思えばそこから、自分なりにアスペルガー夫と戦う方法を模索する日々が始まった。

 

そうして2年が経った今。

わかったことがある。

 

 

それは、アスペルガー夫と上手くやっていくためには、

 

とてつもなく地道で骨の折れる「アスペルガー夫への調教」をし続けなければいけない

 

ということ。

 

今日はそんなアスペルガー夫の調教事情について、

①どれほど過酷で辛く骨が折れるものなのか

②具体的な調教例

 

について語ってみたい。

 

まず、

 

①どれほど過酷で辛く骨が折れるものなのか

 

イメージしていただきやすいように、似たようなイメージがないか探してみた。

一番近いのはこれだと思う。

 

 

「他の犬よりおバカな子犬のしつけをする飼い主の状況」

 

 

犬は通常、割と賢い動物だ。

しつけをすれば、順調にトイレの場所など、人間に合わせた生き方を学んでいってくれる。

ところが、そんな通常のしつけが学習できないちょっとおバカな犬が家にやって来たら、どうなるだろうか。

しつけてもイマイチ覚えてくれず、色々やらかしては家の皆に迷惑をかけるようなワンコ。

家にいるアスペルガー夫は、そんなワンコに一番近い。

 

 

例えばこんなイメージ。

 

子犬を飼い始めた。

「トイレはここ!」

と100回教えても覚えてくれず、家がどんどん汚くなり、絶望する。

それでもこちらが辛抱強く教え続ければ、きっとそのうち覚えてくれるはず・・!

そんな期待を持って、人間側は根気強く教え続ける。

でもなぜかその犬は他の犬よりはるかに覚えが悪いおバカ犬のようで、いつまでも覚えてくれない。

「なんでこんなに言うことを聞いてくれないの・・」

「この子とこれから一緒に暮らしていけるのかしら・・」

「なんでこの子を選んでしまったのかしら・・」

「でも一緒に暮らさないとわからなかったし、誰のせいでもないし・・」

 

などと思い巡らすが、一度飼ってしまったものは仕方がない。

この覚えの悪いおバカ犬を育てる覚悟を決め、根気と辛抱を持ってこの犬をしつけようとする。

それでも、ベッドの上でおしっこされたり、ソファーを噛みまくられたり、全く言うことを聞いてくれないこの犬に、日に日にイライラが溜まってくる。

時に怒鳴り散らしても、一瞬シュンとなるだけで、次の瞬間には怒られたことも忘れてまたソファーを噛み噛みしている。

バコンと殴りたくなる気持ちを抑え、必死で本やインターネットのしつけ情報を読み漁り、対応策を練ることにする。

犬が嫌いな匂いをシュッシュスプレーしてみたり、犬が怖がる音を鳴らしてみたり。

100回言ってもわかってくれず、それでも根気強くしつけ続ける。

血のにじむ努力の末、少しずつおバカ犬も学習し、5回に4回は決められた場所でトイレもできるように成長した。

あー、少しは覚えてくれた。よかった・・。

 

と、ほっと一息ついたのもつかの間。

次は散歩デビューすると、新たな問題が発生した。

通りかかる犬や人間、自転車などすべてに吠えて噛みにかかっていく。

また、新たな調教が始まる。

毎日散歩に行き、犬に噛みにかかったら「ダメ!!」

人間に噛みにかかっていったら「ダメ!!!」

また根気強いしつけの日々が始まる。

100回言いつづけ、調教の末、5回に4回はようやく散歩中もいちいち噛みつかなくなってきた。

あー、この問題もようやく解決かな・・。

と、ほっと一息ついたのもつかの間。

 

そろそろ一人で留守番をさせるようになると、今度は嫌がらせで家中におしっこをするようになった。

また新たなしつけの苦難が始まる。

100回教えても覚えてくれず、日に日に家の中は荒れていく。

飼い主のストレスとイライラは募り、ついキツく子犬に当たってしまう。

でも、子犬側はノーストレス。

その上人間へのラブは深く、飼い主へスリスリ擦り寄り、惜しみない好意を寄せる。

いくら怒鳴り散らされても、愛情は変わらない。すぐ飼い主の元に駆け寄ってはべったりくっついて離れない。

 

 

こんな子犬を、アスペルガー夫に全て置き換えてみていただきたい。

 

 

犬の飼い主が定型の妻。

おバカな子犬がアスペルガー夫。

 

もちろんアスペルガー夫はまったくおバカではないのだが、家での振る舞いは、ちょっとおバカな子犬にそっくりだと私は感じている。

 

我がアスペルガー夫と、妻側の私の間で起こっている日々は、まぎれもなく上記の子犬と飼い主の状況のようである。

 

毎日、何かの問題があり、100回アスペルガー夫に注意しても伝わらず、しまいには忘れ去られる。

なにかが解決したと思えば、また次のトラブルが起こる。

注意されている夫側は、呑気でノーストレス。

注意し続ける妻側はイライラしすぎてストレスフル。

 

妻側のキーワードは「根気」「辛抱」「大きな心」「許す力」「前向き」「アンガーマネジメント」

 

アスペルガー夫側のキーワードは「自由」「気まま」「楽しい」「好き」「フレッシュスタート」

 

飼い主とおバカな子犬側で、どちらが苦労しているかは明白だ。

少なくとも、いくらおバカでも、犬はかわいい。

見ていれば癒されるし、なつけば可愛いし、ふわふわの毛を触っていればこちらのストレスも吹っ飛ぶかもしれない。

 

でもアスペルガー夫を見ていても癒されないし、触ってもなんのご利益もない。なついてもうっとうしくて仕方がない。

結果、子犬より断然、アスペルガー夫の調教の方が過酷で辛く骨が折れる。

 

 

 

さて、それでは次。

 

②我がアスペルガー夫の具体的な調教例

 

アスペルガーの大きな特徴である「謝らない」についての我が家の調教例をひとつご紹介したい。

 

先に言ってしまえば、

 

・謝らない夫 → 100回指摘してなんとしても謝らせる

 

という調教をしている。

 

発達障害の本などで書いていることって、リアルな夫婦生活では役に立たないことが多い。

例えば、「アスペルガー当人は悪気があってやっているわけではありません。」という情報。

定型の妻側からすると、「だから何?」と思う。

 

悪気がなくても、悪いことをしたらだめではないか。

それ、小学生も一緒だと思う。

例えば小1の男子が、ある女子を好きで、好きだからつい力が入って突き飛ばしてしまったとする。

その男子はもちろんその女子が好きなわけで、悪気はない。

でもだからといって悪くないわけではない。

もちろん女子が痛がっていたら心配するべきだし、謝らないといけない。

 

それがアスペルガーの話になると、「彼ら、彼女らには悪気がないんですよ。だからそれを理解してあげましょう」というような、定型側に理解を促すものが多いように感じる。

 

私はいくら悪気がなくとも、悪いことをされたら謝ってほしいし、痛がっていたら心配してほしいと思っている。

だから一切妥協はしない。

 

夫がなにか悪いことをしたら、もちろん夫側にはいつも悪気はないが、そんなことは構わない。

徹底的に謝らせることにしている。

 

具体的には、こういった言葉を容赦なく浴びせる。

 

「ごめんなさいって言って」

「謝って」

「そういう時って人は謝るんだよ」

「私ならごめんねって絶対言うけどね」

「どれだけプライドが高いの?ごめんなさいくらい言えないの?」

「あなたのごめんなさいは言ったら減るわけ?」

「減るものじゃないものをどうして言えないの?」

・・・

 

こういう感じで詰め寄ると、いつも決まって夫は発狂する。

アスペルガーは、詰めて怒られると逆上するのだ。

 

そんな時の夫の返事のレパートリーはこんな感じだ。

 

「どうして何百回も謝らないといけないんだ」

「ぜったい俺は謝らない」

「謝りたくない」

「どうして謝れって言われないといけないんだ」

「どうしてそんなに上から物を言うんだ」

 

こういった、謎の返事が多数返ってくる。

一度も謝っていない中で、なぜ「何百回も謝っている」と思えるのか、不思議でならない。

でも、さっきの子犬と飼い主ほど、頭の構造が違うのだと思う。

ケロッと全て忘れることができる頭のようだから、逆に何百回も謝ったと記憶をすり替えることもできるらしい。

 

こういう不毛なやりとりを、100回以上し続けている。

それでも、私は折れるつもりはない。

私も人間だし、彼に悪いことをされれば、謝ってもらうべき存在だからだ。

そんなに彼の「悪気がなく悪いことをしてしまう特性」についていくつもりはない。

いくらそれで喧嘩になっても、意地でも「ごめんなさい」と言わせてやろうと思っている。

 

おバカな子犬をしつけるように、なかなか報われないのはわかっている。

こうやっていくら「謝れる人間になれるよう」調教を試みても、成功するのは10年後かも20年後かもしれない。

でも、ある意味「覚悟」を決めて一緒に暮らしているため、試行錯誤する決意ではある。

少なくとも、まったく調教せずに、20年後に同じ結果よりはいいだろう。

 

 

 

今日は、アスペルガー夫の調教/しつけ事情を、おバカ子犬を引き合いに出して上げてみた。

お役に立てるだろうか。

少しでも、アスペルガー発達障害に関わる人々の悩みのささやかな息抜きになれれば幸いである。

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