結婚後2年間でアスペルガー夫が改善した5つの症状
いつもとろとろとした更新で大変申し訳ありません。
今日は、結婚して2年が経ち、頑固な我がアスペルガー夫の改善した点について取り上げようと思う。
アスペルガーは変わらないのではと疑問や不安に思っている方々へ、少しでも手助けができる内容にできればと考えている。
アスペルガーの疑いのある人と接する方なら一度は疑問に思ったことがあるのではないだろうか。
それは、
「努力を重ねると、アスペルガーは果たして改善していくのか」
という疑問。
私は、夫がアスペルガーではないかと疑いだしてから、疑問に思い続けてきた。
でも、アスペルガーや発達障害の教科書的な本を読んでも書いているのは、
「発達障害は、‘障害’ なので治るものではありません。」
「でも、本人が意識して改善することで、症状を緩和することはできます。」
という内容だった。
アスペルガーは、「脳障害」と言われる。
つまり、一生お付き合いしないといけないものだということ。
そして、「病気」ではないということ。
つまり、病気ではないから、治る、治らない、という議論はそもそもできない。
また、夫のアスペルガーを疑いだした当初の悩みはこれだった。
「本人の自覚が改善において必要なら、本人にどう自覚してもらえばいいのか」
まず、私だけが夫をアスペルガーだと疑っている。
その時点で、夫に「あなた、アスペルガーかもね」と指摘する必要があるということ。
これって、想像するだけでもつらいことだ。
だって、アスペルガーだと疑っている相手=簡単にキレる人だということ。
そんな夫に、「あなた、アスペルガーかもね」と言ったら、間違いなくキレる。
そんなことは、容易に想像できた。
だから、数週間溜め込んでいた。
言うタイミングを見つけられずにいた。
でも、タイミングなんてない。
どんなタイミングで言っても、キレることは間違いなかった。
なので、結局、言ったのはこのタイミングだった。
「大喧嘩したついで」
もう、こちらが夫に激怒しているとき、ついでに言った、というのが結果となった。
ここまで大喧嘩しているのだから、もうどうにでもなれ、というのが私のタイミングだった。
おかげで、彼は見事に発狂した。
「なんて失礼なんだ!」
「あなたがアスペルガーなんじゃないの!」
「そもそもアスペルガーってなんなの!」
と、まくし立てて怒ってきた。
と、そんな風にようやく夫に「アスペルガーではないか」という情報を与えた。
それでやっと、第一段階。
そして、次の試練がやってくる。
それは、「相手がアスペルガーだと断固認めない」という事実。
先に書いたように、アスペルガーが改善するための大前提として必要なのは、「本人がアスペルガーだと自覚し、改善しようとすること」である。
なのに、アスペルガーの難しいタイプは、指摘されても認めない私の夫のようなタイプだ。
もちろん、素直に認める人だっているだろう。
でも、私の夫の場合は、認めないタイプだ。
それは、今でも変わっていない。
「俺はアスペルガーなんかじゃない」と、未だに私に言っている。
そういうとき、決まって私は彼にこう問い直す。
「逆にどうして、そんなに自分はアスペルガーじゃないって断言できるの?」と。
そう聞いたら、決まって夫は黙り込む。
なんの根拠もないからだ。
ただ、本人はそう信じてやまないのだ。
さて、ここから本題。
そんな「自分がアスペルガーだと決して認めない」アスペルガー疑いのある夫。
教科書的には、アスペルガーだという自覚がないと改善が難しいと言うことができる。
それでは、そんな無自覚の我がアスペルガー夫が、果たして結婚2年でどれだけ変わったか、また変わっていないか。
以下に挙げていこう。
結婚後2年間でアスペルガー夫が変わった点
1. キレることが減った
結婚後、一番びっくりしたのは夫が「プッチン」と音を立てるようにキレること。
結婚前にはなかったことだった。
結婚してからそんな彼を知り、腰を抜かすほど驚いた。
そんな本性だったとは。
彼がアスペルガーではないかと疑う、大きなきっかけとなった。
結婚したての頃、喧嘩をすると、
「おい!!!」「こっちに来い!!」「ふざけんな!!」
などと荒々しく大声で怒鳴り、物を投げて大発狂していた。
そんな場面を何度か目の当たりにし、私は身の危険を感じた。
「この人、ちょっと変だ」と感じた瞬間だった。
そこから、本屋に通い、インターネットをくまなくサーチしながら、たどり着いたのが夫は「アスペルガー」なのだという結論だった。
本に書いているアスペルガーの特徴のなにもかも、夫のことを書いているかのごとく一致していた。
夫はアスペルガーだったのかと確信したのはこの時だ。
そこから、本に書いてあることを実践した。
それは、下記をしっかり本人に理解させること、という内容だった。
「本来、安心安全であるはずの家庭の中でキレるということは、一緒に暮らす相手にとって安全を脅かされるものであること。だから絶対にしてはいけない。」
私は夫に上記を伝えた。
家庭で2人しかいない密室の中で、男性にキレられたらどんなに女性が怖い思いをするか。どんなにあなたのことが嫌いになるか。どんなに安心感を削がれ絶望するか。
そんなことを、ひたすら彼に伝えた。
そして、次にキレたら、必ず離婚する。私はそんな安全ではない環境で暮らすことはできない。と伝えた。
本気で、離婚する気持ちで2時間も3時間も必死で伝えた。
そこから、彼が大々的にキレることはなくなった。
まだ、喧嘩の際にキレた口調になることはあり、「またキレてるよ」と今も彼に指摘することはある。
でも結婚当初のようなひどいキレ方はしなくなった。
これが私にとっては、一番の救いだった。
あんなキレ方を何年もし続けられたら、こっちの身体がもたない。
ここが改善できるかどうかは、私たちの結婚生活が継続するかのキーポイントだった。
ここが、彼が改善できた一つである。
ここが改善できていることが、私がまだ彼と続けられている大きな理由の一つだ。
2. 物を投げなくなった
これは項目1に関連するが、キレた時、結婚当初は物を投げていた。
今思えば、結婚生活という人生初めての枠組みの中で、環境変化についていけずにやってしまっていたことなのだろう。
アスペルガーは、環境の変化に適応するのが苦手だという。
学校や職場など、自分の求められる立ち居振る舞いを習得できたら、その後はその環境の中で生きていくことは得意とする。
でも、結婚生活という未知の環境で、自分が求められる夫としての像がわからないため、結婚当初はそうやってジタバタもがき苦しむ。
それがアスペルガーだったのだろう、と私は感じている。
そのジタバタもがく中、感情が抑えられず、妻からアレコレ言われて頭がついていかず、思わずやってしまうこと。
それが、「物を投げる」という、それはそれは2歳児の行動だった。
結婚当初、喧嘩すると、物を投げるのだ。
でも、相手は2歳児ではなく、アラフォーの成人男性。
女性にとってどれだけ恐ろしいことだろうか。
そもそも、人から物を投げられることなんて、幼児期以来経験するものではない。
そんなことをしてくるのが、アスペルガーだった。
この件も1.と同様、物を投げたら離婚する、と散々彼に伝えた。
そんな家庭環境で私は暮らすつもりはさらさらないと。
そうして1.と同様、物を投げることもそれ以来なくなった。
これも改善点だ。
3. 人の話を遮ることが減った
彼と付き合っていた時、「よく人の話を遮る人だなぁ」と思っていた。
でも、大したことだとは捉えていなかった。まぁ、よくあることかなと。
ただ、結婚後、アスペルガーのことを調べ始め、愕然とした。
それは、「アスペルガーの症状の一つだった」ということ。
ただの彼の性格かと思っていたのだ。
それが一種の脳障害から来ているものだと知り、彼がアスペルガーであるという確信を深めることとなった。
でも、彼自身も仕事上で自分で気づいていたようだ。
ふと気がつくと、「でも!」と相手の話を遮っている自分がいたらしい。
それを、ある夜私に一生懸命説明してきた。
彼曰く、自分の頭の中に言いたいことが浮かんだ途端、すぐ言いたくて仕方なくなるのだそうだ。
だから、そうなればもう相手の話は聞いておらず、全く違う話でも関係なく話を遮って自分の話をしてしまう、とのことだった。
彼がこう聞いてきた。
「最近そういう自分に気づいて、ダメだと思って意識してるんだよね・・」
「やっぱり俺ってそういうとこある??」
「あるよ」と私は即答した。
「でも、っていいながら話を遮ってくるからじーっと聞いてると、結局全く違う話するよね」と指摘してあげた。
彼は「え、やっぱり・・?」と、人生初めて指摘されてような反応をしていた。
そこから、徐々に話を遮ることが減った。
自分で意識しているのだろう。
アスペルガーの望みがあるところは、そうやって「治るわけではなくても、自覚して努力すれば改善する余地がある」ということだ。
今も、全く話を遮らないわけではない。
でも、遮ってくるたびに「また話を遮ったね」といちいち指摘してあげることにしている。
そうすると、「あ・・またやったかな」と彼も少し反省する。
これも改善点だ。
4. 掃除ができていないと指摘しなくなった
アスペルガーの特徴の一つとして「こだわりが強い」という点がある。
私の夫の強いこだわりに、「妻は主婦として家を綺麗にするもの」という固定概念があるようだった。
それは、完全に専業主婦だった彼のお母さんの強い影響だった。
アスペルガーの男性は、自分の母親、父親から「妻とはこういうもの」「父とはこういうもの」妻像、夫像を強く植えつけられ、それが強いこだわりの元となっていることがあるように感じる。
私の夫はそんな家庭環境から、妻の私は「しっかり掃除洗濯をするものだ」というこだわりを持っていた。
そして、時々それをチクチク口に出してくることがあった。
私は共働きの家庭で育ち、自分も専業主婦として生きるつもりはさらさらなかった。
だから、そこまで家をピカピカにするために自分の時間を費やすようなライフスタイルではなかった。
ある日、仕事から帰ってきた夫に、こんなことをされて私は大発狂した。
家の棚に置いてある小さなキャニスター(缶のような入れ物)の蓋に薄く埃が溜まっていたのに夫が目を留め、その埃を指で拭い、こう言った。
「埃たまってるよ」
その瞬間、一瞬私は呆気にとられ、口をあんぐり開けて彼を見つめた。
そしてその直後、彼に大激怒した。
「・・あなた、昼ドラに出てくるお姑さんかなんかなの!?今どき指で埃を拭って、埃溜まってるよって嫌味言う人間って存在するの!?あなた、一体なにもの??というか、どういう立ち位置なわけ!??私は毎日くまなく家を掃除して、一日中埃がたまらないように掃除し続けろってこと!??あなたは、ただの嫌な人間だよ!!」
と、激怒し続けた。
私がそうやって手をつけられないほど激怒すると、彼は決まってだんまりを決め込む。
彼いわく、正しくは、なんて返答するのが正しいのか、頭がフリーズして言葉が出てこないらしい。
そうして私が一方的に彼に怒鳴りまくっただけの出来事だった。
ただ、それ以来、一切私の家事について口出しすることはなくなった。
ある日、ふとしたことから彼がこのことについてこんなことを話し出し、びっくりした。
「前に、あなたが俺が埃が溜まってるよって言って大激怒したことあるじゃん?
あれで、確かに俺が悪かったなーと思ってさぁ。
それから絶対そういうこと指摘しないようにしようと思ってるんだよね。
誰だって、そんな重箱の隅を突くようなこと言われたら嫌だよなって思って。」
私から大激怒されている渦中では絶対そんなことを口にしない。返事もしないし、ごめんも言わない。
でも、確実に聞いてはいて、反省してくれることもあるんだな、と私も理解ができた出来事だった。
そう思えば、いくら相手がアスペルガーでも、大喧嘩になっても相手にしっかり伝えることは、無駄ではないのかもしれない。
そう感じている。
ということで、その「埃溜まってるよ事件」以来、掃除について指摘されることはなくなった。
これも改善点に挙げておきたい。
5. 朝起きれるようになった
アスペルガーの特徴として一般的に言われているのが、朝が弱いという点。
朝に起きるのが苦手で、それは脳の障害が影響しているらしい。
私の夫も、付き合っていた4年ほど前までは、頻繁に寝坊しては会社に遅れていっていた。
正しくは、遅れてもあまり咎められない役職なので、それをいいことに適当なウソをついて会社に遅く出勤したりしていた。
休みの日も、旅行の約束をしているのに起きず、目的地に着くのが夕方になる。
ダラダラ起きずに新幹線に乗り過ごすはめになる。
など、私もプライベートで多々被害を被ってきた。
でも、本当に朝起きるのが苦手なようで、これは一生変えられないのかと感じていた。
でも、ここ最近、なぜか彼はしっかり朝起きれるようになった。
たとえ朝早くに出勤しないといけない日でも、一人でそそくさと起き、出かけていく。
昔は、私が起こしてあげなければならず、また起こしたところで起きなかったのに。
この改善は、理由がわからない。
本人も、わかっていない。
「俺、最近起きれるようになったんだよね〜」と自慢げに話している。
ただ、あくまで頑張って起きればの話で、朝早く起きるのが心底嫌だという気持ちは変わっていない。
それも脳障害の関係があるのかもしれないが、本人曰く、朝早く起きると一日中調子が悪いらしい。だから、早起きは嫌いだそうだ。
単純に、歳の問題だろうか。
歳をとるにつれ、もしかしたら朝起きやすくなるのかもしれない。
とにかく、この点は改善されてよかったなと感じている。
なので、参考になるかはわからないが、今現状のアスペルガーの症状があっても、将来的に自然に減るものや、改善するものがあるということにはなるかもしれない。
以上、今回はアスペルガー夫が結婚後2年間で改善した 5つの症状について書いてみた。
逆に、今後まったく改善していない症状についても書いてみたいと思っている。
少しでも、アスペルガーと接する方や、自分がアスペルガーかもしれないとお悩みの方へ何かのヒントになれば幸いです。
では、また。