ほんきっき

アスペルガー夫に悶絶する新妻のほんきにっき

アスペルガー夫の人知を超えた天才ぶりたまには

だいたいアスペルガー夫に対しては不満しか出て来ないのだが、たまにはアスペルガーの大きな特徴の一つである天才さについて綴り、夫の良いところも思い出してみようと思う。

アスペルガー夫のひどい特徴を詳細に友人に伝えるたび、よく問われることがある。

「どうしてそんな人と結婚したの?」

この言葉にアスペルガーの妻は答えられず、いつも言葉に詰まる。

でも、アスペルガー夫には共通して輝き放つ天才的能力を備えている。そしてそれは一般男性には全く備わっていない異質な才能である。それが彼らに惹かれる理由だ。どんな女性がアスペルガー男性に惹かれるか。一概には言えないだろうが、私のように普通の男性をつまらないと感じる女性が多いと思われる。「人生こんなもんでいい」というサラリーマン体質の向上心のカケラもない男性に惹かれない。そんな女性は気がつけばアスペルガー男性のそばにいるかもしれないので要注意だ。

それではここに、私の夫の天才肌ぶりを贔屓目なく羅列して陳述してみたい。

 

アスペルガー夫は現在会社の役員をしている。そして社会人になってからずっと管理職に就き続けている。一般社員として生きることはできない。指図されるなんて耐えられない。人を動かすことが天才的に上手い。人に好かれ、人の心を動かすことができる。後輩に慕われ、上司に可愛がられ、会社にいなくては会社が成り立たないほどの存在感を放つ。1分単位で彼の元には代わる代わる決断を求め相談をしに来る後輩たちが彼のデスクに列を作る。その姿はまるでゴッドファザーさながらである。彼と話すお客さんは瞬時に彼のファンになり、虜になる。決断のスピードが異様に早く、頭の回転の良さが人間の能力を超えている。同時にいくつものことが処理でき、決断を間違わない。大きく物事を考えることができる。業績の悪い事業も彼が行えばグングン業績が上がり成功事業となる。細かい仕事には決して手を出さず、人にさせることを徹底している。鋼のメンタルを持ち、どんなに理不尽なことで怒られようとも翌日忘れられるという羨ましい能力を備える。彼に任せれば事業が安泰であることから社内で任される仕事がどんどん増える。それゆえに何個もの役職を持ち合わせている。大人3人掛かりで割り振られる仕事を1人でこなすが、給料が変わらなくても大丈夫という不思議なこだわりのなさでストレスを感じない。長時間働いても、1ヶ月働き通しでも耐えられる精神力を兼ね備えている。責任感が強く、必ず事業を成功に導く執念深さがある。上司に可愛がられると必ず報いようとする任侠の世界観を持つ。文句や愚痴を嫌い、正義感を持って仕事に取り組む真摯な姿勢がある。多少のことには動じず、いつも冷静で的確な指示を飛ばす。どんなクレーマで偏屈なお客さんも彼が対応した途端に彼のファンに変わる。上司に媚びず、部下に優しく、辛抱強い。どんな時も笑顔でにこやか。冗談を絶やさずいつも周りを笑わせるムードメーカー。彼が出勤すると皆が立ち上がり一斉に挨拶をする。皆彼のことを慕い、彼をなくてはない唯一無二の存在だと認識している。

 

さて、読んでくださった方、こんな男性どうだろうか。

私は改めて書いていて思う。

いや、なんていい男なんだ、と。

私は彼と一緒に働いていた。だから、上記の様子そのものを間近で見続けていた。なんてすごい人なんだろうと思った。人間レベルではないとすら感じていた。ただなぜこの人がこれほど人間の英知を超えているのか、その理由を知らなかった。

 

その理由が、アスペルガーだから、だったとは。

 

こんないい男であれば、どうして今私が彼の妻として苦しんでいるのか。こんなに周りから慕われ、仕事ができ信頼が厚い男性を夫に持ち、普通ならそんな男性と結婚すればハッピーエンディングではないか。

ところが、人生はそんな風に順調に行かないようにできているらしい。 彼と結婚してから、私の拷問のような苦しい日々は間も無くやってきたのだった。

なにがこんなにアスペルガー夫の問題なのか。

それは、アスペルガー夫は上記のような素敵な男とは180度別人の男に家では変貌するのである。そう、ウチとソトの人格が変わる。それがアスペルガーの特性なのだ。

仕事を辞めて一緒に彼と働かなくなった今、私が接するのは家にいる彼だけだ。そうなると、上記にツラツラ綴った素敵な男性ぶりも、私にとっては全く関係のない人となる。家でそんな素敵な男性となってくれる日は、待てど暮らせどやって来ないからだ。上記に羅列した事項を全て逆にしたのがアスペルガー夫の妻の前での正確だと言っても過言ではない。

家でのアスペルガー夫は、ワガママ・言うことを聞かない・キレる・気を遣わない。とにかくやりたい放題だ。2歳児にまで戻る。「寝たくない」「テレビみたい」「お風呂入りたくない」「食べたくない」など、イヤイヤ期の再来かと思う。

それくらい、ウチとソトの差が激しいのが、アスペルガー夫を素敵だと思って結婚してしまう理由である。ウチ=結婚しない限り判明しないからだ。

それでも、この天才的な能力は100歩譲ってもやはり素晴らしい。私はいくら努力しても彼の天才的能力を身につけることはできない。それは持って生まれた才能である。

だから、今の妻の立場で私ができること。それは2歳児に戻った天才少年を家で褒めて伸ばす教育を行うことだ。天才児を授かった母親のように、将来に甘い夢を見て今しばらくは彼に精一杯の教育を施して将来の展望に夢を駆せたいと思う。私一人では行けないほど遠いところに、彼となら行けるような希望を持って。

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