【大人の発達障害】アスペルガー症候群・ADHDの違いと判断方法
すっかり忘れていたことがある。それは、夫はアスペルガー症候群だけではなく、ADHD・学習障害(LD)も合併した混合型だと考えられること。
いつしか、アスペルガーの傾向があまりにも強いので、アスペルガー夫という一言で夫を表現するようになっていたが、正しくはアスペルガー症候群・ADHD・学習障害混合型夫だった。謹んで訂正いたします。
先日夫がそのようなアスペルガー・ADHD混合型ではないかとのコメントをいただいたことをきっかけに、改めて自分の頭の整理も兼ねてアスペルガー症候群とADHDの違いと特徴についてまとめてみたい。
まず自分のアスペルガー・ADHD・学習障害混合型夫を参考に特徴や症状を書き綴る前に、自分の本棚にある下記バイブル本から引用した発達障害とはなにかという基本情報を記してみようと思う。
(参考・引用させていただいたマイバイブル的本はこちら。アスペルガーとADHDが詳しく載っているのでいつも辞書的に活用している。二者の違いを知りたい方や、混合型に関連する方に強くおすすめしたい。)
大人の発達障害 アスペルガー症候群・ADHD シーン別解決ブック (主婦の友新実用BOOKS)
- 作者: 司馬理英子
- 出版社/メーカー: 主婦の友社
- 発売日: 2015/02/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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発達障害とはどのような状態のことをいうのか
発達障害とは、生まれつきの脳の機能の発達に関する障害です。
発達障害の子供は対人関係や注意力などの発達がゆっくりしている一方、学力などには問題がなかったり、場合によってはすぐれた面があったりするなど、発達にアンバランスがあります。
この能力のアンバランスさのためにうまくいかないことが起こると、性格や育て方の問題と考えられがちで、生まれつきの脳の特徴からくるものだということが、周りからは理解されにくいのです。
発達障害の中には「アスペルガー症候群」「自閉症」「ADHD(注意欠如・多動性障害)」「LD(学習障害)」「チック」などがあります。
<自閉症スペクトラム障害(ASD)>
自閉症、アスペルガー症候群は、アメリカ精神医学会の診断基準である「DSM-5」(2013年)では、自閉症スペクトラム障害(ASD)に分類され、社会性の障害(人との関わり方が独特)、コミュニケーションの障害、社会的想像力の障害、感覚の過敏さなどの特徴があります。
アスペルガー症候群と自閉症の違い
自閉症では幼少期に言葉の発達の遅れがありますが、アスペルガー症候群では言葉の遅れはなく、社会性以外の部分の遅れが目立ちません
<ADHD>
ADHDは、不注意(集中力の持続が困難)、多動性(落ち着きがない)、衝動性(待つことができない)という特徴があります
<学習障害(LD)>
学習障害は、全体の知的な能力に遅れがないのに、特定の能力、読み(識字障害)、描き(書字障害)、計算や推論(算数障害)などが極端にできない状態です
次に、 具体的な特徴・症状について。
発達障害の特徴・症状
<アスペルガー症候群や高機能自閉症>
・社会性の障害
友達とうまくかかわれない。友達とトラブルになりやすい など
・コミュニケーションの障害
一方的でまとまりのない話をする。大人びた言葉遣い。冗談を真に受ける。表情が乏しい など
・社会的想像力の障害
他人の感情が理解できない。経験したことがないことを想像できない。こだわりが強い など
<ADHD(注意欠如・多動性障害)>
・不注意
ケアレスミスが多い。いつも探し物をしている。整理整頓が苦手。すぐに気が散る。集中力が持続しない など
・多動性
じっとしていられない。落ち着きがない。授業中や食事中もすぐに席を立つ。手や足をいつもそわそわ動かす。イスの上で体を動かす。静かにしているのが苦手 など
・衝動性
順番を待てない。せっかち。おしゃべり。友達にちょっかいを出す など
アスペルガー症候群とADHDの違い
一見同じような症状でも、厳密には違うアスペルガー症候群とADHD。ただし、合併することも認められているため、完全な線引きはできません。
<中核となる症状が違う>
・アスペルガー症候群:人との関わり方がメインの症状
・ADHD:集中力・行動、感情のコントロールなどの前頭葉の問題が中心
<明確な違い>
引用させていただいている上記の本:大人の発達障害 アスペルガー症候群・ADHD シーン別解決ブック (主婦の友新実用BOOKS)では表でわかりやすく載っているのでぜひ一読していただきたいが、わかりやすく筆者なりにまとめると下記の通り。
〜アスペルガー症候群のみにある症状〜
話し方
アスペルガー症候群:問題あり
難しい言葉を使ったり、大人びた喋り方をしたりする。話し相手を無視した一方的な会話。言葉の意味を字義どおりにとらえて、たとえやユーモアが通じない
ADHD:問題なし
おしゃべりだったり、早口で自分中心にしゃべることはあるが、会話のやりとりに不自然さはない
対人関係
アスペルガー症候群:問題あり
非常に風変わり、一方的、無神経な方法で人と関わる。他者に言われるがままに動く、自分の気持ちをうまく表せないタイプもいる
ADHD:あまり問題なし
周囲の反感を買う行動のためトラブルを起こしやすいが、基本的には対人関係が理解できるので、人と適切な関係を築くことができる
こだわり
アスペルガー症候群:あり
興味の幅が狭く、興味を持ったものの情報や事実を集めるために膨大な時間を費やす
ADHD:ない
物事への極端な執着やこだわりはない
感覚
アスペルガー症候群:あることも
極端な感覚の過敏さ、鈍感さ。聴覚、視覚、触覚などで過敏さや鈍感さがみられる
ADHD:ない
極端な感覚の敏感さ・鈍感さはない
その他
アスペルガー症候群:不器用さ(発達性協調性運動障害)がよくみられる
〜ADHDの主な症状〜
上記同様、アスペルガー症候群と比べてADHDのみにある症状を書こうと思ったが、なんとADHDのみにある症状というのがゼロだった。つまり、ADHDの症状は全てアスペルガー症候群の症状にあてはまる、ということだ。
その中でもアスペルガー症候群と比べて、特にADHDの症状として顕著なものは下記。
多動
ADHD:あることも
落ち着かない、せわしない
アスペルガー症候群:あることも
その場の状況や、ルールを理解していないときに、動き回る
不注意
ADHD:問題あり
気が散りやすい。ひとつのことに集中する時間が短い
アスペルガー症候群:偏りがある
好きなことには熱中するが、興味のないものに対しては集中できない
衝動性
ADHD:あることも
待つことができない
アスペルガー症候群:あることも
待つことができない。状況を読めないので、突然の思いつきで動いているように見えることも
ゆきみの考察とまとめ
アスペルガー・ADHDの判断方法
上記に綴った内容から、結局いくらADHDの主な「多動・不注意・衝動性」といった症状があったとしても、アスペルガー症候群なのか、ADHDなのか判断できないということだ。どちらにもあり得る症状・特性だということだからだ。
それではどうすればよいかと考えると、「まったく当てはまらない症状」を探すこと。それが一番簡単な方法だと考えられる。
具体的にいうと、ADHDに当てはまらない症状でありアスペルガー症候群のみが持つ症状である「こだわり」と「感覚」の有無で判断する方法が有効ではないだろうか。
例えば、
・自分や相手に「多動・不注意・衝動性」といった症状が見られる。アスペルガー症候群なのか、ADHDなのかわからない状態。
↓
A)「こだわり」や「感覚」の症状がない
B)「こだわり」や「感覚」の症状がある
↓
A) ADHDの可能性がある
B) アスペルガー症候群の可能性がある
という判断方法が考えられる。
アスペルガー症候群の特徴「こだわり」とは
ここで、アスペルガー症候群にあってADHDにないといわれる「こだわり」について詳しく述べてみたい。
「こだわり」とは、好きな食べ物、好きな趣味へのこだわりが強いこと。またこの方法でなければやらない、このブランドでなければ食べないなど、こうでなければいや、という気持ちが非常に強い状態のこと。
「自分はこうしたい」という本人ならではの明確な意思を持っていて、アスペルガーの方はその意思を何がなんでも突き通す傾向がある。
私の夫でいうと、下記のような例が挙げられる。
・絶対朝にシャワーを浴びなければ気が済まない
・茶色の靴を履くときに黒の靴下は耐えられない
・決まったブランドの整髪料以外は受け付けない
・決まったブランドのハンドソープ以外は受け付けない
・熱いものは熱々の状態で食べないと気が済まない
・一つのことを長く継続することが大切だという考えに固執する
・何十年の前の思い入れのある服や靴に執着し捨てられない
アスペルガー症候群の特徴「感覚過敏」とは
アスペルガー症候群の人々で五感の感覚が人より強い傾向がある。普通の人は気にならないような雑音が気になって生活に支障をきたすような「聴覚過敏」、電球や太陽などの光の変化で体調の変化がおこるような「視覚過敏」、体臭や香水などの匂いに特に敏感な「嗅覚過敏」、触るものに対する感覚が敏感な「触覚過敏」、味の違いに敏感で偏食をしたり同じものばかりを食べるような「味覚過敏」といった症状がある。
私の夫の場合の感覚過敏に関する例は下記の通り。「触覚過敏」と「味覚過敏」が顕著である。
・アルミホイルが嫌い。擦れる音や触った感じが耐えられない
・鉛筆が嫌い。カリカリという音が耐えられない
・時々買い物かごに触ると気持ちが悪いと感じるものがある
・他の人が触った自分の車のハンドルが耐えられない
・瓜系の食べ物の食感が苦手で食べられない
・全く知らない女性との性行為は気持ち悪くて絶対したくない
・不潔そうな人は大嫌いで間接的にも触れたくない
まとめ
今回は、アスペルガー症候群とADHDの違いと特徴についてまとめてみた。
しかし注意するべきは、この二つは似ている症状が多くあり、判断が素人には非常に難しいという点だ。だから、双方がある症状を細かく分析して仕分けることは困難である。それよりも、上記のように明らかな違いに視点を向け、緩やかな自己判断をするのが得策ではないかと思う。
どしらにしても、独断だけで終わらせるのではなく、必要があれば専門家の意見を取り入れたり、専門機関で診断をしてもらうことも考慮するべきだと考えている。妻など相手からの自己診断を受け入れてくれる素晴らしい方であれば不必要だろうが、本人が自覚してくれていない場合がほどんどだろうからだ。
私も現在、病院で夫の発達障害の診断をしてもらえるよう、専門機関を探しているところである。しかし、予約が3ヶ月待ちであったり、診断まで3〜6ヶ月かかる機関もあり、病院探しに難航している。衝動性の強い夫にはさぞ待ちきれない苦痛の受診となるだろう。でも、夫が私から「あなたはアスペルガーだよ」と言われることにそれは嫌悪感を示し、病院で診断してやるよ!といつもキレて面倒なので、私も夫をいよいよ病院に連れていくという難題に挑む日が近くなってきている。
また、夫を病院に連れて行く地獄の巻は、これから綴っていこうと思う。